今週の「Athlete News」は、横浜高校野球部合宿所の元寮母、渡辺元美さんをゲストにお迎えしました。
松坂大輔投手や筒香嘉智選手など、輩出したプロ野球選手は61人!強豪・横浜高校 野球部の知られざる合宿所生活についてお話しを伺いました。
──お父様は名将 横浜高校野球部 渡辺元智前監督ですが、どういう方ですか?やはり監督と言うと厳しいイメージがありますが
一言で言うと厳しかったと思うんですけど、小さい頃から自宅に選手が下宿していたということもあって。
お父さんというよりも、家でも8割型は監督だったのかなと今はそう思います。
──ベイスターズのマシンガン打線が有名でしたが、主軸を打たれていた鈴木尚典さんも下宿していたんですよね?
はい、そうですね。
──弟さんも下宿されていましたよね、ヒエラルキーがあったりも?
そうなんですよね。私の方が2歳くらい上なんですけど、なんとなく家族の中で監督、お母さん、お姉ちゃん、鈴木家の中ではお兄ちゃんが尚典で、弟が章仁で、妹の私ですね(笑)。そんな感じで、兄弟みたいな感覚だったのかなと思います。
──寮母になるきっかけは何だったんですか?
母が、父が監督をやっている時から続けていたので、それで母のお仕事を軽減したいなという思いから引き継ぎ始めたのがきっかけでした。
──お父様が初めて甲子園に行かれたのはいつだったんですか?
私が2歳か3歳くらい、昭和47年だったと思います。
──元美さんにとったら、いろんな距離感で甲子園に触れ続けてきたわけですよね
選手のことを小さい頃は「お兄ちゃん」と呼んでいて、いつ頃からか同じ歳になって、だんだんお姉さんになり、お母さんになり、気が付いたら寮母になっていたという感じですね。
──20年間はすぐそばで、食で、生活で、いろんな面で支え続けてきたわけですよね
そうですね(笑)。
──合宿所に入寮する条件というか、どういう人が入るわけですか?
規定というのはなくて、寮生は20人しか入れないのでメンバーが中心になります。
10部屋しかないので1部屋2人なんですね。
──じゃあ、途中で寮から外れないといけない選手も出てくるんですか?
出てきますね、「僕、寮を出るのでありがとうございました。また戻ってくるので…」と、そういうことは多々あります。
──20人の食事を作っていたわけですよね。食べ盛りの野球部どれくらいの量を作られていたんですか?
お米で言うと1人だいたい1日6合くらいですね。
だから、1ヶ月に消費するのは300キロくらいですね。
──摂取カロリーで言うと相当摂っていますよね
6〜7000キロカロリーは、いってるんじゃないかと思いますね。
普通の人が食べてたらぶくぶくになってしまう量だと思うんですけど、彼らはそれだけ激しい運動をしているのでそのぐらい食べないとスタミナがもたないですね。
──本に書かれていた、食べるという字は“人を良くする”というのが印象的でした
昔から選手のミーティングでも言っていましたね。
好き嫌いはダメだ、感謝して食べなさいと常々言っていたと思います。
──横浜高校というと数々の名選手が出てきていますが、なんといっても松坂大輔投手、当時はどんな感覚だったんですか?普通の部員の中の1人だったんですか?
私たちはそういう感じに見ていたんですけど、試合とか、ああいう偉業を成し遂げて“この選手って、もしかしたらこの先すごい選手になるんだろう”っていう感覚はありましたね。
──松坂大輔投手は復活されて活躍されているじゃないですか、どうですか?
感慨深いですね。高校生の時しか見ていなかったので。
大リーグに行ってすごく遠い存在になって、日本に帰ってきて復活して、って、年齢も私たちに近づいてきたというか(笑)。
そういうのもあって、高校生の時に応援する気持ちとはまた別の気持ちで頑張ってほしいなと思う気持ちがあります。
──そして、日本を代表するスラッガー DeNAの筒香嘉智選手はどんな選手でしたか?
すごく存在感はあったんですけど、派手な振る舞いをするタイプではなくて。周りに目配り気配りをできる選手だったのかなと思いますね。
彼が卒業して4〜5年経って、当時いたマネージャーから聞いたんですけど、当時息子が小学生で寮に遊びに行ってみんなに遊んでもらっていて。
その時に、たまたま筒香くんの部屋でマネージャーと遊んでもらっていて、息子が悪ふざけで噛んでいたガムを窓から飛ばしたんですね(笑)。
ちょうど寮に帰ってきた小倉部長の車に貼り付いてしまって、下から小倉部長が「誰だ!!」と、怒鳴り声で来た時に息子は半べそですよね。そしたら、筒香くんが窓から「僕です!」みたいな(笑)。
──いまの筒香さんに通ずる部分が備わっていますよね。チームリーダーとして、そんなに言葉は多くないけど引っ張っていく人じゃないですか
それを5〜6年経ってから、本人ではなくマネージャーから聞くと憎たらしいほどかっこいいなって(笑)。
──レギュラーメンバーとはいえ脱走する選手もいるんですか?
いましたね、私が寮母になってから2回ほどあったと思います。
やっぱり高校生なので、厳しい練習とか、厳しく言われたことに耐えられなくて「グラウンドから出てけ!」みたいな感じになる時があると思うんですけど。
泣きながら帰ってきて、そのまま寮を出てしまったみたいなことはありましたね。野球部が嫌いで、寮生活が嫌いでというわけではなかったと思うんですけど、きっといろんな重圧に耐えられなかったのかなと思いますね。
──それは2回とも戻ってきたんですか?
数日で戻ってはくるんですけどね。
──戻ってきた選手にどういう言葉をかけるんですか?
あまり矢継ぎ早に質問しちゃいけないのかなと思うんですけど、普通にしてますけどね。
脱走してしまった時は血の気が引くというか、“どうしよう!”みたいな、ありとあらゆるところを探しましたね。
──番組では、ゲストの方にCheer Up Songを伺っています。渡辺さんが寮母をされている時、心の支えになっていた曲や思い出の曲を教えて下さい
ゆずの「栄光の架橋」です。
ゆずの北川悠仁さんが横浜高校出身なんですね、そういう縁もあって。甲子園に行った時に一度甲子園のアルプスに応援に駆けつけてくれたことがあって。そういうこともあって、私たちには身近なこともあって。
──たくさんの球児を見て来た渡辺さんですが、一流アスリートになる子供達の共通点はあるんですか?
寮母から見た立場だと食に対してということになってしまうんですけど。
横浜高校に入ってくる選手はみんな、食に対してストイックさ、体を締めるとか、増やすとか、筋肉をつけたいとか。
それに対して自分なりに考えてストイックさを感じますね。
──部員たちが大切にしている格言があるそうですね
おそらく、これは父の言葉で「人生の勝利者たれ」という言葉になると思うんですけど。
毎日毎日寮のミーティングで言ってた言葉だったんですけど、それが卒業して社会人になって、選手たちが自分の格言としてこの言葉を言ってくれるっていうのは、父の思いも通じていたのかなと私は嬉しく思っています。
今週のゲスト、横浜高校野球部合宿所の元寮母 渡辺元美さんのサイン入りの著書「甲子園、つれていきます! 横浜高校野球部 食堂物語」をプレゼントします!
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