今週の「Athlete News」、記念すべき200回目の放送、ゲストは2000年のシドニーオリンピック女子マラソン金メダリスト・高橋尚子さんです。
高橋尚子さんは、中学から本格的に陸上競技を始め、大学卒業後、実業団入り。
2000年のシドニーオリンピック女子マラソンで優勝され、国民栄誉賞を受賞。翌年のベルリンマラソンでは、当時の世界記録となる2時間19分46秒をマークしました。
”Qちゃん”の愛称で親しまれ、2008年に現役を引退、現在はスポーツキャスターとして活動されています。
──高橋尚子さんは、なんと言っても”Qちゃん”という名前が…
名前に”Q”の一文字も入っていないということで、理由を知ってる人は少ないんですよ(笑)。リクルートという最初の会社に入った時の、新入社員歓迎会で、1人だったんですけど。
新入社員が出し物をしないといけないということで、自分でカセットテープに「オバケのQ太郎」の音楽を入れて、タンバリンとマラカスで録ったんですね。
”隣の部屋の有森さんに聞かれたら、変な新人来たって思われるかな”と思いながら、こっそりと録って(笑)。
それにちょっと下ネタの振り付けをつけて踊ったんですけど。それだけだと寂しいかと思って、さらに胸からお尻までギリギリ隠れるような、ボディコンのような感じでアルミホイルを巻いたんですね。
ギンギラギンで、顔には大きな口を書いて、いきなり出てって下ネタを踊るわけですよ(笑)。新入社員だったので、インパクトを持ってもらうために。
終わった後に監督に「入社取り消し!」っと言われながら、すごい喜んじゃって。それから「お前はQちゃんだ!」って言われたんですね(笑)。
当時、いろんな報道の方が来る中で「この子、新人でQちゃん」って言われて、活躍し始めた時に新聞の一面に「Qちゃん」って出るんですね。それで全国に広まったという感じです。あれ以来、二度とやらないと決めて今に至ります(笑)。
──封印したんですか?
封印です(笑)。その写真が出るのすら恐れています(笑)。
──今からジョギングをしたい、ハーフマラソンに挑戦をしたいという方は、どこから始めればいいんですか?
よく聞かれるのは、「正しいフォームってどんなフォームですか?」と聞かれます。
少し、ポイントを知っているだけで疲れない走りができるんですよ。
目線、腕振り、腰の位置、これが3つのポイントになります。
マラソンの場合は、まっすぐ前を見るよりちょっと下を見てください、自分の7〜10メートル先の地面を見る感じです。そうすると、顎が引いて前傾になるんですね。もしも目線が上がって、登りで”あそこまで登らないといけないな”と上を向いたり、後半苦しくなって背中に引っ張られて反ってしまうと、重心が後ろに傾きますね。
顎を引いて、前に倒れるように足を出してみてください、幅も下を見ると大きく広がっています。足の出方も、飛ばなくても、跳ねなくても、蹴らなくても、体を支えるために足が一歩出ますよね。この一歩が21キロ続くことができれば、足の力を使わずに体を移動させることができるんですね。
そのためには、苦しくなった時こそ目線を下げて、登りになっても頂上を見ないで地面を見て走るということが大切です。
前傾姿勢をずっと続けたら、前腿が疲れてきてしまうんですね。苦しい時には体を前に倒しても、しっかりと足の力を使わずに、前を出すために2つ目のポイント、腕振りというのがあります。
足が4回動くのに対して、手が2回という人はいないですよね。足が動かなくても、腕を振れるっていう人は多いんですよ。前半も、足を意識してなくても、腕を振れば足っていうのは絶対についてくるんですね。
前半はしっかり腕を振ってあげることによって、足の力を使わずに、温存して走ることができるんです。
まず最初に手をぶらぶらとさせて、肩の力を抜いてリラックスです。そのまま、小さな前ならえをしていただいて、その時に手を軽く握ります。
そして振り子の軸が肩、振り子の重りが肘についてると思ってください。
そのまま、拳を目の前まで上がるような感じで、両手の拳を持ってきてください。この拳を吊り糸でぶら下げられていると思って、この吊り糸を切るとどうなるかというと、肩を中心に振り子の重りがついてる肘が前後にぶらんぶらんと動きます。
私は、現役時代にこれを100回行っていたんですけど。今のように、肘の可動域をしっかりと前後に振れるような感じを意識してください。
この時のポイントは「腕を振ってくださいね」って言うと、力んでしまって肩がぶれる人がいるんですけど。
肩がぶれると、上体がぶれて足に負担がかかるので、この肩は絶対に揺らさないこと。
肩は振らずに、肘を前後に可動域をもって振ってあげることがポイントです。そうすれば足は絶対に出てきます。
3つ目のポイントは腰の位置ですね。腰の位置を、しっかり高い位置で安定させてください。
上下運動をなるべくさせないように、地面から真っ直ぐ平行に移動することをイメージして走ってください。
──腰を高い位置でキープするには、どうすればいいですか?
後ろに重心が乗ってしまう時は、膝が曲がって腰が落ちてしまうんですね。
前に倒した時は、腰が低い位置で前に倒れないんです、必ず、腰が乗った状態で、この時は腰が落ちていないはずなんです。
前に重心を持っていくようなイメージで走っていくと、腰を後ろに残さずに、腰の位置を低くせずに高い位置で走ることができます。
基本は、最初の少し前に倒して一歩が出るということを、ずっと続くっていうようなイメージを持って走るとすごく楽に走れます。いきなり走らずに、5分〜10分、それを意識して歩くところから始めるのがいいですね。
──まずは、歩きながらそのフォームを確認するということですね
その通りです。私は、オリンピックの時も、世界記録を出したベルリンも、最初に10分歩いていました。
そうすると、後半に”フォームがぐちゃぐちゃになってしまった”、”タイムが遅くなってしまった”という時に、何回も立て直せるのがマラソンです。
ひとつひとつ直していくと、またタイムが上がってくるんです。基本的なのを、ウォーキングでしっかり形作るのがいいですね。
──高橋さんから藤木さんへ、今後の課題はありますでしょうか?
走るということは、時間がある時に少しずつ始めてもらえばいいです。家でやれる簡単なことが、実はとっても自分の体をサポートするんですね。
例えば、寝る前に腹筋10回から始めて、15回、20回…という感じで増やしていく、寝ている間に筋肉は作られやすいと言われているので、それをやるだけで先ほどの前傾姿勢が保てるようになったり、テレビ局の階段を1階分だけ、2階分だけ、歩いて登るっていうのを習慣づけてもらうと、階段っていうのは筋肉をしっかりと鍛えられる部分でもあるので。そういうのを積み重ねることで土台ができてくるんです。
──階段の上り方のコツっていうのはあるんですか?
あります。自分の足が片足上がった時に、立っている方の足に上げた方のかかとが沿うような感じで上げる、軸足に沿って”トントントン”と上げるような形をとると、無駄な動きをせずに効率よく足を前に出すような走りになるので。
それをイメージしながら登ったり、下ったりするとフォームにいい影響が出てきます。
私は腹筋を1日2000回してましたけど、顔を洗う、歯を磨く、腹筋2000回っていうのをひとつのローテーションにしてしまうとすごく楽なんですね。
──その2000回は一回で一気にやるんですか?
一気に1000回やって、夜に1000回やるっていうイメージなんですけど、生活の中に腹筋10回とか、何か組み込んでください。
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