今週の「Athlete News」は、リオ・パラリンピックの競泳日本代表、一ノ瀬メイ選手をお迎えしました。
一ノ瀬選手は現在20歳の女子大生スイマーで、2020年の東京パラリンピックでも期待がかかる選手です。
初めてのパラリンピック、リオ大会でどんな事を感じたのか、そして、20歳の女性としての素顔にも迫りました。
──小さい頃からの夢ということですが、リオ・パラリンピックの舞台はいかがでしたか?
代表になることに必死で、代表になった瞬間は嬉しかったんですけど。
パラリンピックの舞台に立った時には、自分の夢だったその舞台に立った嬉しさっていうのはなくて。
”もっと勝負ができるようになりたい!”という気持ちで、いっぱいになって帰って来ました。
──リオ・パラリンピック出場が決まってからメディアの露出が増えましたね
そこには、一ノ瀬選手の伝えたい思いもあるとお聞きしました
私は片腕が無いんですけど、普段、そういう人を見る機会とかって無いと思うんですけど。
9歳からパラリンピックを目指し始めたんですけど、当時はパラリンピックという言葉を知らない人が周りにたくさんいて。
自分がメディアに出ることで、パラリンピックというものをもっと知ってほしいと思います。
──小学校の4年生の途中から1年間イギリスで過ごされたということですが
そこで、障害者の方やパラスポーツを取り巻く環境に対する違いを感じたそうですね
9歳の時に、日本で練習できる環境を探したんですけど、腕が無いという理由からスイミングを断られたりして……ということがあってイギリスに1年間行ったので。イギリスでは、家の近くにスイミングに行って「入りたい」と言ったら、腕のことには触れなくて、タイムだけを聞かれて、そのタイムでクラス分けをするだけで対応が全然違うなと感じました。
あとは、公立の小学校に通っていたんですけど、腕が無いというのもみんなとの違いですけど、日本の血が混ざっているということもみんなと違うと思うんです。違いに対する反応が小学生であっても全然違って、拒否反応を示すとか、そういうことじゃなくて興味を持って接してくれる、「なんで、腕無いの?」とか嫌な感じじゃなくて、純粋に気になっているんだろうなという聞き方で。“違い”というのも大事にするんだなと感じました。
──一ノ瀬選手にとって、水泳ってどんな存在ですか?
一言で言うと「軸」です。生活の真ん中にあるのも水泳で、自分が普段いろんな選択をして生活してると思うんですけど。
その選択をするにあたっての物差しも水泳で、考え方の軸もすべて「水泳」で培ってきたと思うので、「軸」だと思います。
──今の大学を選ぶ判断も、一ノ瀬選手が考えて決めたんですよね?
そうですね、大学選びはすごく悩んだんですけど。
近畿大学の水上競技部の山本監督にお会いした時に、「パラリンピックの表彰台の真ん中を一緒に目指そう!」と言われて、”この人のもとでやったら、自分は強くなれる”と確信しました。
──近畿大学での競技生活はいかがですか?
今まで強豪校の部活に所属したことがなかったので、上下関係や朝練だったりとかすべてが初めてで。1年目は泣いた記憶しかないんですけど(笑)。
その分1年目が一番成長しました。でも、いろんな部活の仲間とやることで、チームでやる楽しさ、チームの良さ、チームだから出来る事を水泳部に教えてもらいました。
チームの雰囲気っていうのはすごく大事で、隣で同じメニューを踏ん張ってやっている人がいるのと、いないのとでは、自分の気持ちの持ちようも違いますし。キツイなと思ってる時に隣で声をかけてくれたり、そういう支えは本当に大きいです。
──毎回、ゲストの方のお気に入りの1曲を伺っています。一ノ瀬選手が大会の前に聞いている曲、心の支えになっている曲などありますか?
試合前はイヤホンつけてる選手も多いんですけど、私はいつ外したらいいか、どこにしまおうかとか、バタバタするのが苦手で試合直前は聴かないんですけど。
普段聴いている曲で、大学に入ってから、家族や地元の友達に会えない時間が増えて、寂しい時に聴いてる曲でJames Bayの「Hold back the river」です。
このアーティストさん自身が、どんどん忙しくなって、自分の大事な人に会えなくなった時に書いた曲だそうで、時の流れとか生活を川に例えていて。
”自分の大事な人に会うために、一回その川の流れをせき止めてくれ”という曲です。いつも共感して元気をもらっています。
──2020年東京パラリンピックの目標は?
幸運なことに、自分が現役中に自分の国で開催されるパラリンピックなので。
リオではメダルがとれなくて悔しい思いをしたんですけど、この大会では金メダルを目標に、しっかりとメダルを獲って、満員の会場でいろんな人と喜びをシェアしたいです。
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