今週の「Athlete News」は、ボクシングWBA世界ミドル級王座決定戦を控えた村田諒太選手にお話を伺いました。

村田諒太選手は、ロンドン・オリンピック ボクシングミドル級で、日本人として48年ぶりに金メダルを獲得しました。
そして、今月20日王座挑戦が決定しました。

──5月20日に有明コロシアムでWBAミドル級暫定王者のアッサン・エンダム選手と対戦
アッサン・エンダム選手は35勝2敗21KOの実力者ですけど、どんな選手なんですか？

2敗してるんですけど、負けた2敗は1試合に6回ダウンしていて、それでも立ち上がって、ダウンさせられたラウンド以外は支配している選手なんです。ソンビみたいなタイプの選手で（笑）。
こいつと試合するのは、みんなオススメしないですね。

──めちゃくちゃタフな選手ですね。

コロコロ倒れるので、タフなのか分からないですけど。
でもやっぱり、ハングリーなんだと思います。絶対に諦めないですしパンチ力もあるので。自分としては、ここに勝ったら自分自身を認めてあげてもいいかなという気はしてます。

──どうやって戦っていくか、戦略分析はしていますか？

考えます。ジャブ使って、フットワークが止まらなくて、右ストレートに強さがある選手なので、右をもらわないこととプレッシャーをかけていって、自分のパンチをどれだけ打ち込んでいけるかなので。シンプルな試合になると思います。

──村田選手は、試合の入場時にリラックスしているように見受けられるんですけど
どのような気持ちでリングに上がってらっしゃるんですか？

リラックスしてる時って笑ってなかったりしてて、ニコニコしてる時は、リラックしなければいけないから笑顔から作って…笑うことによって、無理やりにでもリラックスを作るみたいな感じなんですよ。
デビューから2年くらいの時の不自然な笑顔っていうのは、明らかに緊張を隠すためのものですね。笑顔って、ある意味自分の気持ちを隠しやすいじゃないですか。

──リングに上がる時に恐怖感はあるんですか？

もちろん初めはありました。今はなくて、”仕事の時間が来た”っていう感じで、10ラウンド人と殴り合ったら、これでおしまいだからとりあえず行くぞみたいな。
”自分のいいところってなんだっけ？”って、自分に問いかけるわけですよ。プレッシャーが強くて、ハートがあって、パンチ力が強いところ、そこで勝負しようと、”そこで負けたらどうするんだ？”と、自分の中で会話をするわけですよね。
やるべきことだけを考えるという感じです、自分が何をするかということだけに焦点を合わせるのはスポーツ心理学で言われることで。シンプルに”何ができるか？”、”どうするか？”というところに焦点を合わせます。

──ミドル級では過去の日本人の世界王者は竹原慎二さん1人、村田選手への期待は大きいと思いますけど、それに関して思われることはありますか？

それは結果として付いてくるものなので、あまり考えてはないですね。
竹原さんはプライベートで会うこともあるんですけど、ベルト獲って、竹原さんと並べたら感慨深いと思います（笑）。

──毎回ゲストの方にお気に入りの1曲を伺っています。村田諒太選手にとって忘れられない曲、心の支えになっている曲がありましたら教えてください

入場曲が、パイレーツ オブカリビアンのテーマ曲なんですよ。

──ご自身で決められたんですか？

初めはそうじゃなくて、「テレビ局の方で売り出したいアーティストさんいるんやったら、それでもいいですよ」と言ってたんですよ。

──普段、音楽とか聴かれるんですか？

聴くことは聴くんですけど、練習前とか試合前に”これ！”っていうのはなくて。そしたら、パイレーツオブカリビアンを選んでいただいて。
これけっこう縁があって、恩師にあたる人からデビュー戦の日に合わせて手紙が届いたんですよ。
手紙には「村田君はこれからプロという名の大海原に航海に出るんだ」と言っていたので、何かの縁だなと思ってずっと使わせてもらってます。

──プロの厳しい大海原はどうですか？

自分が思ってるほど大それたことってしてないと思うんです。物事って、過ぎ去ったことって大したことじゃないじゃないですか？
金メダルとったことも、過去のことになってしまったら”そんなこともあったな”くらいのもんですし、プロに転向する時も、僕は大学の職員だったので、一か八かの世界に行くのも悩みましたけど。過ぎてみたら、”なんであんなに悩んでいたんだろう？”と思うんですよ。
一歩を踏み出す勇気とか、背中を押してくれる人だったり、そういうのがあるかどうかっていうのが重要なことですよね。


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