今週の「Athlete News」は、先週に引き続き、競泳元日本代表の松田丈志さんにお話を伺いました。
──松田さんはご結婚されていますけど、結婚される前に選手としてオリンピックを経験していました。支えとなる人がいると変わりますか?
癒しというか、ハードに練習して疲れているんですけど。奥さんに会うと気持ちがリフレッシュされて”また頑張ろう”となりますし…試合の会場で会って話したりとかできないんだけど、いつもプールに応援に来てくれるのは支えになりましたね。
──プロポーズのタイミングはオリンピックの前ですか?
オリンピック前に言いましたね、僕自身オリンピックは最後と思って挑んでいたので、生涯のパートナーという気持ちで見てほしかったし。
そういう意味では、オリンピックの後じゃなくて前に言って、そういう気持ちで見てもらえたら嬉しいなと思いました。
──日本に帰ってきて何か言葉をかけられましたか?
電話とかでは話していたんですけど、リオでメダルをとった日の夜は選手村に戻るじゃないですか?
選手村は他の選手が部屋の中にいっぱいいるので、2時か3時くらいに戻って喜びの電話をしたいなと思ったんですけど、みんな寝てるからベランダに出て、コソコソ話で「やったよー!」みたいな(笑)。本当に喜んでいましたね。
──3年後には東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。
リオオリンピックで銅メダルを獲得されたときに「これで競泳大国と言える」とコメントされていました。日本の競泳レベルは高いものですか?
そうですね。上がってきてると思いますね。リオでやっと自由型のリレーでメダルをとれましたし、次の東京ではもっといい色のメダルをとってほしいですし。
今の競泳界は、いい選手、若い選手がどんどん出てきてるので、強化体制も上手く出来てきてると思います。
選手たちも、3年後に自分の国でオリンピックがあるということでみんな気合い入ってますね。
──3年後に東京でオリンピックがあるというのはすごく大きな目標になりますよね
本当に大きいですし、選手をやってた人間としては羨ましいくらいですよね。
アスリートだけじゃなくて、日本中の皆さんが注目しているという中で競技ができるのは幸せなことだと思います。
──現役時代、28年間、二人三脚で競技に取り組んできた久世コーチと「夢を喜びに変える 自超力」という著書を出されました。
この中で気になったのが、「オン・オフの切り替えをする」。これは北島康介さんを見て思ったんですか?
そうですね。康介さん以外の先輩メダリストもそうなんですけど、結果を出してる人はやる時は徹底的にやるんですけど、そこを離れた時はみんな明るくて、僕らで言うと水泳のことを一回頭から外してその場を楽しむ。
そういう人が、いざという時に強いんだなと思いましたね。
──24時間そのことを考え続けなきゃいけないのかなと思いがちですけど、そこを一回離れられる強さですね
思い切って、そういう時間を作れる人が結果を出しているなと思いましたね。
──松田さんも変わられたんですか?
僕自身はストイックに24時間水泳のことを考えて、”出来ること何でもやってやる!”という気持ちでやっていたんですけど。
アテネの時に思ったのがそれだけでは戦えなくて、いざ勝負を迎える時に体が元気なのは当然ですけど、気持ちも元気じゃないと力が出ないので。
そういう意味では、上手くリフレッシュする時間を作ることが大事だなと思いましたね。
──今週も、松田さんにお気に入りの1曲を伺いたいと思います。松田丈志さんにとって忘れられない曲、心の支えになっている曲がありましたら教えてください
平井大さんの「Slow & Easy」なんですけど、僕はオフの時は地元の宮崎でサーフィンに行くんですよ。
大きな目標に向かって頑張ってる時に、それに向けてのプレッシャーとか、頑張らなきゃ!っていう思いはあるんですけど。
海に入ると、”なんとかなるか!”っていう気持ちになるのが好きで。
──サーフィンをすると、体幹が鍛えられて選手として水泳に返ってくることってあるんですか?
そうですね。ただ、やりすぎると膝にくるので(笑)、そこはいい塩梅でやってましたけど。
──オン・オフの切り替えだったり、本にもたくさん出てくる挨拶とか礼儀だったり…”メダルって技術だけじゃとれないんだな”って思いました。
技術は後からつけていくことはできるんですけど、コーチが昔から言ってたのは、
「一生懸命やっていれば、いつか誰かが助けてくれる」と言っていて。
そういう魅力のある人であるかどうか……そのことの方が大事な気がしますね。
──今後はどういった活動をされていきたいですか?
いろんなことに挑戦していきたいと思ってるんですけど。ひとつは、スポーツをやってきた人間として、水泳だけじゃなくていろんなスポーツを皆さんに伝えるということをやっていきたいと思っていて。
それ以外にも、アンチ・ドーピング機構のアスリート委員の活動もありますし、栄養の研究もやっていこうと思っていて。
いろんなことにチャレンジして、自分のキャパを広げていきたいと思います。
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