今週の「Athlete News」は、日本マラソン界のレジェンドで、現在はDeNAランニングクラブの総監督を務めていらっしゃいます、瀬古利彦さんにお話を伺いました。
──男子マラソンが日本時間の21日、日曜日夜9時半にスタートしますね
ここはぜひとも、先頭集団についていってほしいですね
前半は、当然つかなきゃいけないですね。特にケニアの選手、2時間3分5秒という、キプチョゲ選手。世界歴代2番ですから、そういう選手と日本選手がタイトルを戦うのはかなり厳しい状況ですね。
──今回は佐々木選手、北島選手、石川選手が出場します。ベストタイムで比べると5分以上差があるんですね
5分違うということは、2キロ近く離れるっていうことですからね。大人と子供の関係みたいな、それくらいの力の差がありますね。
──レースの展開としては遅いペースで入るんですか?
当然、オリンピックはペースメーカーっていうのがいませんから、全員が同じ条件で走ります。
今までのレースを見てるとペースは遅いです、入りの10キロ、15キロまでは遅く入っていますので、日本人はつけるレースだと思います。
──記録というよりはメダルを狙いにいくので、牽制し合ってペースが落ちるんですか?
全員が金メダルを取りたいという気持ちがありますから、前半は力を温存するというのが目標なので。
──どこかで急激なスピードアップがくるわけですよね?
日本人が勝つためには、一か八か、”いく!”っていうのはありますよね。
”日本人は大した選手じゃないから”というところで、ノーマークで”ドーン”というのもありますね。
──逆に平均的なペースで日本人が出したほうが、最後スピード勝負になると勝ち目はないですか?
まずないですね。彼らは10000メートルも、5000メートルも速い選手がいっぱい出てきますので、勝つためには彼らが考えてないことをやらないと勝てないですよね。
福士選手、彼女は勝つためには、25キロくらいから一気にいくべきだと思っていたんですよ。そこにいくまでに、離れちゃっていますからね。
──もともと福士選手は10000メートルが強い選手で、スピードのある選手でしたね
人が考えてないことをやるっていう、それが福士選手らしいレースだと思ったんだけど、当たり前のレースになっちゃったのでもったいないですよね。
──ブラジルの気候は、日本人選手にとってはどうなんですか?
湿気はないので、ただ今回、日差しが強くて暑かったんですよ。日本人に有利だと思ったんですよ、アフリカ勢が速いペースでいけないっていう状況にあるので。
有利かなと思ったんですけど、それが逆になっちゃいましたね。
男子マラソンも涼しいと駄目ですね、暑ければ暑いほどいいです。特にベテランが多いので北島選手、石川選手、暑いほうが力を発揮できると思います。
──暑くなると、水分補給など給水所での駆け引きもポイントになってくるのでしょうか?
今回、女子マラソンで給水所が一つの勝負の分かれ目になっていて、アフリカ選手が給水を取りにスピードを出すんですね。
毎回ペースの上げ下げがあって、日本人選手がペースを乱されたというのがありますから。そのへんも、わかってレースしてほしいですね。
給水で余分な力を使わないことですね。
──毎回、ゲストの方のお気に入りの一曲を伺っています。瀬古さんが現役時代に聞いていた曲や心の支えになっていた曲を教えてください
水前寺清子さんの「三百六十五歩のマーチ」です!これはマラソンにぴったりですね!地道に一歩ずつ、前に進んでいくというね。
まず、マラソンというのは超アナログなんですよ、本当に地道な作業なんです。
僕もケニアに行って、ケニアの選手と一緒に過ごしました。なぜ、強いかが分かりました。彼らは、本当に地道に、小学校の時から歩いたり走って学校に行くでしょ?
練習も、日本人より練習をするんですよ。
──日本人のほうが、コツコツ毎日練習しているイメージがありますね
今は、それを全てケニアの選手がやっていますよ。日本に留学生がいっぱいいるでしょ?
そういう留学生が日本の練習方法を学んで帰って、マラソンの心なども覚えて帰ってるんですよね。
来週も引き続き、瀬古利彦さんにお話を伺います。
お楽しみに!