今週の「Athlete News」は、バルセロナ・オリンピックのバドミントン日本代表、陣内貴美子さんをお迎えして、お話を伺いました。
──近年、日本のバドミントン界の勢いはすごいですね
びっくりするくらい強くなりましたよね。
今回、女子のダブルスの高橋、松友ペアの高松ペア、彼女たちはオリンピックに世界ランキング1位で乗り込むんですよ、ありえないことですからね。
──金メダルを期待されるランキングですよね
期待は、十分私たちもしてるんですけど。不安材料を一つ見つけると、バドミントンはオリンピックで金メダルをとったことのない国なんですよ。
前回のロンドンオリンピックでは、藤井、垣岩のフジカキペアというのが、銀メダリストでした。
金メダルは未知の世界なんですね、それを高松ペアがやってくれるかどうかなんですよ。
──その壁を破ってほしいですね
ランキングは1位なんですけど、金メダルをとっているのって中国なんですよ。
中国は、「他の大会では負けても、オリンピックでは金メダルなんだ」と思いながら立つ、その違いですよね。
不安なのはそこだけです。
──中国勢は何が怖いところなんですか?
金メダルをとっているという自信ですね。これまでは、後半になればなるほどスピードも上がっていって、力強くなっていく。
他の選手の足が止まる中、中国の選手はどんどん動いていくんですよ。それがこれまでの中国の選手の強さだったんですよ。
それを、いまの日本の選手がやっているんですね。だから、中国の選手はヘトヘトになるんですよ。
私たちが見たこともないような、”中国の選手って、こんなにヘトヘトになるんだ”っていう。
──それは日本のレベルが上がったんですか?
上がったんですよ。もしかしたら、中国のレベルも下がってるかもしれませんけど、それ以上に日本選手が上がっています。バドミントン界に関しては、ハングリー精神が日本の選手の方が上です。
──そういう気質はいつ頃から変わったんですか?
10年くらい前に韓国から召集された、朴ヘッドコーチという今の監督なんですけど。
最初に言われたのは、「日本の選手って、自分が現役の時もそうだけど技術的には世界レベルなんですよ」と言っていて。
何が足りないかって、”ここまでいったから、もういいかな”って思っちゃう。
「もっと頂点にいこう!っていう気持ちがないんですよ」と、他の国の選手をリスペクトし過ぎるって言うんですね。
そこで、意識の改革から変えていきますって言われたんです。
──具体的にどう変えていくんですか?
「あなた達は勝ちたいんでしょ?だったら、こういうしんどい練習耐えられますか?」と、
「もう一歩頑張って足を出せば、相手は疲れるかもしれないじゃないか」ということで、疲れないためにサーキットトレーニングをしましょうとか、
10セットで終わっていたものを、11セット、12セットやりましょうっていう……。
選手はスタミナがつきますよね、実際に結果が出ると、”もっとやりたい!”ってなるんですよ。
──男子はどうですか?
男子のダブルスで、早川、遠藤がいるんですよ。彼らは、今回のリオが初めてなんですよね。
本当にいい成績を残していて、彼らの怖さっていうのは強い相手に強いんですよ。大物食いをするんですね。
だから、強い選手は嫌がるんですよ。
──すごく期待ができますね
だから、いい成績がぐっと出る可能性もあるのは男子のダブルスなんです。
──シングルスは、佐々木翔選手がいますね
一度オリンピックに出てるんですけど、本当に黙々と練習をして、とにかく真面目な選手。
みんなが”翔さんみたいになりたい”っていうくらい、努力家なんですよ。チームを引っ張ってくれるし、安定感がつくと思います。
──毎回、ゲストの方のお気に入りの一曲を伺っています。陣内さんが現役時代に聞いていた曲や心の支えになっていた曲を教えてください
小林麻美さんの「雨音はショパンの調べ」です。
ちょっと静かな感じで、心が落ち着くんですよね。
──この曲は現役時代に聴いていらっしゃったんですか?
そうです。一回現役を離れて、1年間病気で休んでいたんですけど、その復帰をするときの大会の前にずっと聴いていたんですよ。
──どういうお気持ちで聴かれていたんですか?
安らぐというか、”これから頑張っていかないといけないな”みたいな感じで、聴いてました。