16.07.23
不屈の精神で手にした金メダル
今週の「Athlete News」は、ロンドン・オリンピックの女子レスリング48キロ級で金メダルを獲得した、小原日登美さんにお話を伺いました。
──4年前のロンドンオリンピックは日本中が感動しました。金メダルをかけられた時は、どんな気持ちでしたか?
やっと夢が叶って、自分だけではなく家族や支えてくれたみんなの夢が叶って本当に嬉しかったです。
嬉しいという気持ちと、ほっとした気持ちが入り混じっている感じでした。
──いまは競技から引退されて、一児のお母様でいらっしゃいますね
はい、1歳9ヶ月になりました。
──お子さんにはレスリングをさせたいと思っていますか?
小さいうちは体力作りも含めてやらせたいですけど、そのあとは違うスポーツ、野球とかサッカーとか…球技は苦手なので、自分ができないことに憧れるというのはありますね。
──一度競技をやめられて、その時51キロ級で世界選手権を8度も制しているんですね。
オリンピックでは51キロ級がなかったんですね。それを聞いたときはどう思いましたか?
オリンピックに入ってない時は世界選手権で満足していたんですけど、オリンピックに入ってからは世界選手権の、より上がオリンピックになったので。
アテネオリンピックから女子レスリングは採用されたんですけど、全階級が入らないんだったら、入らなければよかったのにっていうマイナスの考えもあったりしました。
──一つ下の48キロ級には妹さんがいらっしゃって、一つ上の階級には吉田沙保里選手がいるんですね。
さすがに、妹さんとオリンピックをかけて戦うのは…
妹も小さい頃からやっていましたし、両親も姉妹対決っていうのは辛いというのがありました。
──ロンドンオリンピックのときには、妹さんが競技を引退されていたので48キロ級で出場されましたね。
減量は辛いものなんですか?
そうですね。普段の体重が、多い時で58キロとかあったので。3ヶ月くらいかけて5キロくらいはしぼって。
そこから、1週間くらいかけて、あとの5キロはぎゅっと水分でしぼっていく感じです。
──水分ですら我慢しなければいけないんですね
計量って、前の日に体重計るんですけど。その前の日の夜なんかは何も食べられないし、水分も取れないし、試合よりもきついと思った時もありました。
減量に失敗してしまうと、試合で力が出せなくて、負けてしまうこともあるので重要です。
──前日に計量クリアしても、そこから食べ物をどう摂るかは重要じゃないですか?
そこから、どれだけ体を戻せるかが勝負になるので、一晩で5キロくらいは戻っています(笑)。
水分が抜けているので、しっかり水分とって、炭水化物をとるのがいいんですね。食べた瞬間から、力が湧いてくる感じがします。
──ケガで手術もされて、階級の問題で一度引退もされて、それでも復活しようと思った一番の理由は何ですか?
”オリンピックで優勝”という目標を、どうしても叶えたいと思いました。
妹か自分、どちらかが行ければ…最初は妹のサポートをして、”妹をオリンピックチャンピオンに”って思っていたので。
姉妹でも一心同体みたいな感じだったので、妹が引退した後は自分が引き継ぐという気持ちでした。
──そういう夢を抱いてる人はいっぱいいるじゃないですか。それでも、実際に金メダルを獲得できる強さ、素晴らしいですよね。
表彰台に立った時、どんなことを思いましたか?
諦めなかったら、夢は叶うんだというのを自分が一番実感した瞬間でもあったし。吉田選手とか伊調選手が優勝する姿を見て憧れていたので、それが叶って嬉しかったです。
表彰台から、家族とか支えてくれたコーチの笑顔が見ることができて嬉しかったです。
──旦那様との二人三脚で掴んだという、そういう部分も結婚されてから変わりましたか?
一時期、”負けたらどうしよう”という不安から、オリンピックも出たくないという気持ちになったことがあるんですよ。
その時に夫から「結果は考えなくていいから、いま出来ることをやって、もし負けたとしても一緒に戦ってきた人達は変わらずにそばにいるから」と言われたときに、すごく心強くて、今できることを精一杯やろうと気持ちを切り替えて頑張りました。