今週の「ATHLETE NEWS」は、先週に引き続き、スポーツライターの金子達仁さんをお迎えして、2016年のスポーツの見どころや、注目のスポーツ選手についてお伺いしました。
──リオオリンピックが開催されますが、注目しているスポーツ選手はいますか?
オリンピックというよりは、そのあとのパラリンピックを、初めて一生懸命観てみようかなと思います。今まで、報道されているものをつまみ食いでしか観ていなかったので。
4年後のことを考えると、空前の情報量が入ってくると思うので、それを咀嚼して味わいたいと思っています。
──国民が注目している大会ですから、そこからまた、新たなスターが現れそうですよね
現れるでしょうね。4年前、女子サッカーがこんなにポピュラーになるなんて誰も思わなかったし、フェンシング、誰も見向きもしていなかったですからね。
──昨年末、サッカーは100点満点中5点と仰っていましたね
100点満点中5点ですけど、ワールドカップへ行く確率は99%だとは思っていますけどね。他の国とはコマが違いますから。
圧勝というのが出来ないチームになっちゃったので、ヒヤヒヤは続くでしょうね。
──そんな中で、どんな試合を期待されていますか?
去年のラグビー日本代表があれだけ胸を打ったのは、勝ったからだけではないと思うんですよ。
ラグビーがあれを見せてくれた以上、サッカーだって、”すげーや!日本!”と、世界を驚かせるサッカーを志さないといけないと思います。それを「なでしこ」はやったんですよね。
チャンスの数で、20本、30本シュート打ちまくって、仰け反りまくってでも勝ったというのが、僕は好きですね。
──日本が目指すべきスタイルというのは、金子さんなりにあるのでしょうか?
あります。世界一緻密で、故障のない日本製品のイメージを具現化するもの、それを突き詰めると、スーパーバルセロナになるはずなんですけどね。
バルセロナが生まれた理由の一つに、スペインの中で、ずば抜けて緻密で、正確で、律儀。だから、このサッカーが受け入れられたんだと言ってるんですよ。それ、全部日本人が当てはまるわけなんですよね。
ただ、一歩間違えると働き蜂の集団になっちゃうので、リーダーは必要だと思うんですよ。このリーダーは神様が日本にプレゼントしてくれるのを待つしかないですね。
──黒田さんが、2016年も現役続行をすると宣言されましたが、どうですか?
悩んだでしょうね。あまりにも元気に見えるので、歳を感じないじゃないですか。それは途方もない努力で維持している、それをもう1年ですから。
何より、優勝にも、クライマックスシリーズにも、チームを導けなかったわけじゃないですか。僕は想像するだけですが、力不足を痛感してると思うんですよね。
──テニスの錦織選手と、ゴルフの松山選手が、メジャー制覇をできるかどうかというのは楽しみです
テニスにしてもゴルフにしても、日本人は絶対にグランドスラムには届かないものだというイメージがあるじゃないですか。それを誰かが覆すことによって、サッカーも強くなるんですよね。”自分たちは世界一になれるはずがない”という心の壁が取っ払われますから。
それを、なでしこは、サッカーをやってる女の子たちに、”世界一になれるんだ”という夢を見せた。
僕らおっちゃんには、女子が勝ったから、男子も勝てるとは思えないですけど、小学生の子供からしたら一緒なわけですよ。
ラグビーがあれだけやってくれたから、ぶつかり合いだって、”日本人負けねーぞ”っていうのは、またしみたわけですよね。
今度は、細かい技術と知恵と、メンタルの勝負ですね。
──今の若い子たちは、世界と戦っていくんだということがデフォルトに精神的にありますからね
いろんなことがしみていってるはずなんです。変えていってるはずなんです。
勝って感動させてくれるのが一番幸せなことですけど、日本人であるのであれば、美しい散り方というのもあっていいと思うので。そこを評価するメディアの一人でいたいと思います。