今週の「ATHLETE NEWS」は、先週に引き続き、オリンピック柔道で史上初の3大会連続金メダルを成し遂げ、今年8月に現役を引退した、野村忠宏さんをお迎えして日本柔道のこれからについて伺いました。
──今年、カザフスタンで行われた世界柔道では、日本はメダルを沢山とりました。来年のリオ・オリンピックのはずみになるのではないでしょうか?
勢いはついたと思います。ただ、”そんなに甘くないぞ”というのはありますね。世界選手権とオリンピックは、全く別物と考えた方がいいと思います。
選手にとっては、期待ゆえのプレッシャーがあって、オリンピックは4年に1度、世界選手権は毎年開催ですからね。
外国人っていうのは、休むのが上手なんですよね。たまに、そんなに準備してこない選手がいるんですよ。来年のリオ・オリンピック出場が決まっていて、調整のために試合に出てきたりするんですよ。
──逆に、”前年に手の内を見せるのも”と考える選手もいますよね
既に、オリンピックに向けて準備を進めている選手もいるんですよね。
金メダルは自信にはなるかもしれないけど、それをそのまま受け止めてはいけないですね。
──日本が出すべき強みはどういった所でしょうか?
技術的な部分は日本がリードしてるんですよね。
各階級、駒は揃っているんですけど、1位と3位、1位と2位、この差っていうのは大きいですね。
最高の緊張感の中、ギリギリの勝負を制する、そういう精神力を持った選手がどれだけいるのか、根性論っていうのは流行らないけど、ギリギリの勝負を分けるのはそこだと思います。
──柔道といえば日本のお家芸ですが、ここ最近はルールの変更などもあって、ちょっと低迷していた時期もありましたよね
前回のロンドンオリンピックでは、男子に関して言えば、史上初の金メダルはゼロでしたからね。
──道着の大きさが変更になったり、日本にとって不利な変更だと思いますか?
自分たちの時代は不利だったんですよね。そういうルールの中でやってきて、だんだんと柔道の魅力が失われてきたと、力技が主流になってきたので、1度ルールを見直しましょうということで、ロンドンオリンピック以降は下半身への攻撃は駄目になったんです。
柔道の魅力である、組み合う柔道をしなさいという、攻撃的にどんどん攻めなさいというルールに変更になったんですよね。
外国の柔道は、ルール変更への適応がすごく柔軟ですよ。変更されたルールの中で、自分たちの持ち味を最大限に出せるスタイルを作っていくんですよ。
──現在の日本柔道は復活してきたとは言えないですか?
今のメンバーはいいと思いますし、復活傾向にはあるんですよ。日本柔道復活と言えるのは、来年のリオ・オリンピックで結果を出してこそなんですよね。
──野村さんが期待する選手は?
1人あげるとすれば、今年の世界選手権で金メダルをとった大野将平選手ですね。
日本男子の中でも、一番魅力的な豪快な一本を取れる選手ですね。
──今週も野村さんにお気に入りの1曲を伺いたいと思います
アスリートたちの定番なんですけど、ゆずの「栄光の架け橋」です。自分もアテネオリンピックで聴いてましたし、いま聴いても、その時を思い出します。
アスリートの後輩たちと食事に行くんですけど、たまに流れでカラオケに行くんですよ。
そこで後輩が「栄光の架け橋」を入れる、自分と競泳の北島康介がデュエットするっていうのがお決まりなんですよ(笑)。
──最後に、改めて柔道の魅力をお聞きしたいのですが?
日本で生まれて世界に広まった、そういう柔道ですから。日本人として応援してほしいなという気持ちがありますし、相手と組み合って豪快に投げる、一本をとる技に注目して、リオ・オリンピック含めて、柔道を応援してほしいなと思います。